第50回(2024年)の集会




ダウンロード
集会宣言
宣言文2024.pdf
PDFファイル 179.3 KB

 2024年の集会は、諸般の事情により翌2月12日に開催しました。仙台国際センターには約340人が集まりました(さらに約40人がオンライン参加しました)。
 開会後、状況報告に続いて、指宿昭一さん(弁護士)が講演しました(下に講演要旨)。最後に「宣言」を採択し、会場から仙台市役所前までデモ行進を行って、私たちの思いをアピールしました。

 



<講演要旨>

 

 「建国記念の日」は、「建国をしのぶ日」とされているが、戦後日本の「建国」は、ポツダム宣言の受諾日(8月14日)、サンフランシスコ平和条約の締結日(9月8日)や発効日(4月28日)でもよいはずだ。神話に基づく神武天皇の即位日(大日本帝国憲法公布の日でもある)とすることには疑問がある。日本を戦前に引き戻そうという意思を感じる。

 いま日本には約300万人の外国人が住んでいる(うち約200万人が労働者)。既に日本は「2.5%の移民を抱えている国」と言える。「2066年には外国人が人口の1割を超える」とする予想もある。

 「外国人」とは法的には日本国籍を有しない者をいう。何らかの在留資格を得て居住しており、在留資格を失った人の95%は帰国している。しかし様々の事情で帰るに帰れない外国人が5%いる。難民申請者、日本人の配偶者、ずっと日本で働いてきた労働者たち、日本で生まれた子ども等である。この人々は「強制送還」と言われても拒否している。そうすると原則として施設に収容されることになる。日本政府は近年「在留特別許可」を出さなくなっているし、「難民」認定率も非常に低いために社会問題化している。

 施設収容は入管が判断する(裁判所は関与しない)。証拠不要で無期限の収容が可能なので数年間収容されている人もいる。コロナ禍で多数が「仮放免」となったが、昨年からまた収容が増えている。収容後は医療が施されないなど過酷な状況になる。「仮放免」になっても就労が禁止されるため多数がホームレスになっている。許可なく県外へ移動できないため生活に支障をきたす。社会保険に加入できないため病気になると全額自費負担となる(病院に行けない)。在留資格のない子どもが約300名いるが、「本人に責任がない」ことを入管庁も認めているのだから、子どもには在留特別許可を出すべきなのにしない(成人すればいつ収容されるか分からない)。国会で野党議員が追及した結果、昨年入管庁は「許可を出す」と答弁したが、遅々として進まない(対象者を選別しているようだ)。

 2021年に名古屋入管の施設で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんは、何かの事情で日本語学校に通えなくなった後オーバーステイになり、救助を求めて駆け込んだ交番で逮捕され収容された。当初は帰国すると言っていたが、元交際相手から脅されたため帰国の意思を撤回したのが入管の逆鱗に触れたらしく、以後入管はウィシュマさんに冷酷な対応を始めた。ストレスで痩せて衰弱し嘔吐を繰り返すようになっても入管は点滴など適切な措置をしなかった。入管職員の誰も正式な懲戒処分を受けていない。遺族は入管職員全員を殺人罪で刑事告訴した。保護責任者遺棄致死罪や業務上過失致死罪も成立し得る。しかし名古屋地検は「嫌疑なし」で不起訴にした。理由は「死因不明」だが、まったく事実に反する。検察審査会は「不起訴不当」と判断したが、名古屋地検は昨年再び「不起訴」にした。入管庁が出した中間報告書でも「不備はなかった」と責任を認めない。入管は、帰国に同意しないウィシュマさんを死なない程度に痛めつけたかったのだ、としか考えられない。この事件では国家賠償請求訴訟も起こしているが、入管の事件で勝てた例は僅かで予断を許さない。国家の犯罪や不法行為の責任を問うことは非常に難しい(入管庁の幹部の多くは検察官である)。

 戦前の日本は台湾や朝鮮から渡って来た者を(独立運動を起こさないよう)徹底的に管理し監視していた。その「外国人嫌悪(ゼノフォビア)」の体制が、戦後の入管体制の基礎にある。技能実習制度が始まった1990年代から「ニューカマー」と呼ばれる外国人が増加しても、外国人への敵視・監視政策がずっと続いている。入管の態度は、「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」という言葉(幹部の著書にある言葉)に象徴される。裁判所も「外国人に対する人権保障は在留制度の枠内で与えられているに過ぎない」(マクリーン事件の最高裁判決)という憲法無視の立場を維持している。

 昨年、入管法が「改悪」された。難民申請中でも強制送還できる、帰国に応じない外国人に刑罰を課せる、外国人への管理・監視を強化する、が三本柱。いま必要なのは入管の権限を制限することなのに、まったく逆の動き。しかしこれを契機に入管問題への社会的関心は高まり、若い世代の人々が「自分たちの問題」と捉えて全国津々浦々で「改悪」反対運動に加わった。そこに希望がある。

 


<宣言>


 私たちは今日、第50回目の「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。1967年に「建国記念の日」が制定され、続いて靖国神社国家護持法案が上程され、宮城県連絡会議がつくられて、1975年からは、毎年2月11日に集会を開いてきました。
 「信教・思想・報道の自由」は、人間がともに生きる社会にとってとても大切なことです。私たちの集会の出発点となった靖国神社国家護持法案と「建国記念の日」制定への反対運動は、反民主主義的政治や行政のあり方に対する異議申し立てでした。
 昨年のウクライナに続き、10月、パレスチナで戦争がはじまり、子どもたちや女性をはじめ多くの人々の命が日々奪われています。また、地球環境は、これ以上壊し続けることはできない危機的な状況です。人々が平和に、差別なく、自由に、皆が力を合わせて生きていける社会を未来のこどもたちに残すことができるのか、私たちは歴史の岐路にたっています。
 すべての人々が人間として幸せに生きるための新しい取り組みが世界で始まっています。肌や目の色、性別、民族などの違いをこえて、少数者の声に耳を傾け、基本的人権を踏みにじるような政治、国家のあり方を根本から変えようという声が高まっています。私たちは、世界の人々とつながり、力を合わせていくことをあらためて決意します。
 戦争が続き、軍事的な緊張が高まる中で、政府は、「国家安全保障戦略」等安保3文書の改訂や敵基地攻撃能力の保有、そして防衛費の大幅増にむけて、行政と財政の舵を切っています。一方で、政権が巨額の裏金をつくり権力をふるってきたことが明るみに出ました。戦争への歩みと政治の腐敗はひとつのことです。過去に、国民の分断や敵対と民族主義的排外主義とが結びついて侵略戦争へと突き進んだ歴史を繰り返さないために、今が正念場です。
 新しい年は、能登半島での大地震、航空機の衝突炎上事故で幕をあけました。被災地では、人々の生きるためのたたかいが続いています。どのような状況のもとでも、「信教の自由・思想の自由・報道の自由」を尊重するよう強く求めます。私たちは、人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を護り、現在の政権による多数派の横暴と暴走に抗議し、「信教、思想、報道の自由」を守る決意を新たに、次の通り宣言します。

一 私たちは、「建国記念の日」とその奉祝行事に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。大日本帝国憲法(旧憲法)時代にその冒頭に掲げられた「万世一系の天皇」神話に基づく「紀元節」を復活させたものだからです。私たちは、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行日を記念する「憲法記念日」こそが、現在の日本の誕生を祝うのにふさわしい日であると確信します。


一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持の試み、無反省な旧天皇制賛美、政教分離原則をないがしろにする動きや、天皇を政治的に利用しようとする一連の政治的行動に反対します。

 

一 私たちは、国民の「表現の自由」や「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争する国づくりへの動きに反対します。さらに、武器輸出、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、共謀罪、九州から沖縄にかけての新基地建設・整備などの軍拡政策、一昨年12月に国会での議論もなく閣議決定した「安保関連3文書(国家安全保障戦略)」策定と防衛費の大幅増額とそのための増税に反対します。

 

一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、「特別の教科:道徳」、教育と学問研究に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また宮城県内の2つの県立中学校において復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を続けている宮城県教育委員会に対して、強く抗議します。

 

一 私たちは、報道機関が、これらの問題において権力批判と監視の役割をしっかりと果たすよう求めます。行政に対し、報道や取材活動における自己規制や忖度を行わず、報道への圧力や介入に対し反対する姿勢を保持するとともに、原発問題等の公正な報道、犯罪事件における安易な犯人視報道の抑制など、関係者すべてが真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。

 

2024年2月11日


2・11信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟49団体 (アイウエオ順)

革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット21
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ宮城県支部協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会