第32回(2006年)の集会




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<宣言>

 私たちは今日ここに、第三二回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 この一年間に信教・思想・報道の自由に対する攻撃は強まり、日本国憲法を改悪しようとする動きも増大しました。悲惨な歴史を繰り返さないため、これまで以上に信教・思想・報道の自由が重要になってきています。
 昨年九月一一日の衆議院議員総選挙は、民意を反映しない小選挙区制によって、約半数の得票しかなかった自民党が、単独で三分の二を占めるほど多数の議席を獲得しました。またこの選挙は「郵政民営化の是非」に争点が単純化され、長期的展望に立った政策論議が深められないまま実施されたという点で、かつてドイツにおいてナチ党が急成長した選挙とそっくりでした。この選挙のあと、一〇月に小泉首相は五度目の靖国神社参拝を強行し、自民党は一一月の結党五〇周年を機に「新憲法草案」を発表しました。
 靖国神社は、天皇のために戦い死んだ者を尊び、戦争を推進する役割を果たした神社です。そのような神社を首相が公式参拝することは、侵略戦争を反省し不戦の誓いを立てたはずの日本人にとって受け入れがたい行為です。被害を受けた中国・韓国などアジアの人々が反発するのも当然です。にもかかわらず小泉首相は、これを個人の「心の問題」にすりかえて、開き直った態度を示しています。
 「新憲法草案」の中核は憲法九条の改悪です。草案は、戦争を否定し戦力不保持と交戦権否認を定めた憲法九条を骨抜きにして、正規の軍隊を保有することを定めています。司法制度の章には軍事裁判所の設置が謳われています。さらに政教分離原則を定めた憲法二〇条は、社会的儀礼の範囲内で国家が一定の宗教活動を行うことを容認する旨の規定に変えられています。財政面では宗教活動を行う組織・団体に公金を支出することができることになっています。そして憲法改正の要件も緩和されています。自民党は、この草案を成立させることによって、靖国神社への公式参拝や公金支出を「憲法も認める行為」として堂々と行い、日本を再び戦争のできる国・戦争をする国に変えていこうとしているのです。私たちは、日本国憲法の改悪を絶対に許すことはできません。
 憲法九条改悪の狙いは、アメリカとの軍事同盟の強化です。日本政府は自衛隊をイラクに派兵し有事法制を整備しました。アメリカは沖縄県民の反対を押し切って基地の県内移転を強行し、横須賀に原子力空母を配備しようとするなど、全国の在日米軍の再編強化を進めようとしています。そのために、これまで軍拡の歯止めとなってきた憲法九条が邪魔な存在となっているのは明らかです。昨年一二月に東京高裁はイラク派兵反対のビラ配布に対して有罪判決を下しました。憲法改正のための国民投票法案には報道規制が盛り込まれています。また表現の自由の制約につながりかねない共謀罪の新設提案は継続審議になっています。これらの根底にあるのは、「戦争をする国」づくりに向かう政府に対して国民からの批判は許さないという意図に他なりません。教育基本法の改悪や歴史歪曲教科書の採択も、批判精神の育成に逆行することであり、決して見過ごすことはできません。
 いま日本は、六〇年前に大きな犠牲を払って学んだ教訓と理念を忘れ、平和と自由を投げ捨てようとしています。この動きを食い止めるため、全力で闘う決意を新たにしつつ、今日私たちは次のとおり宣言します。

一、きょうの「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、明治の帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である、「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。

一、私たちは、首相その他の特別国家公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝と地方公共団体における政教分離原則の軽視、また憲法・教育基本法の改悪と、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制や、歴史を歪曲する教科書の採択などに反対します。

一、私たちは、自衛隊のイラク派兵やそれを合法化した「イラク特措法」と新たな有事関連立法の撤回を求め、反戦の言論弾圧に抗議し、憲法前文の精神と第九条の規定を遵守するよう訴えます。これこそ、平和を希求する国際社会で日本国がとるべき唯一の貢献だと、私たちは信じます。

一、私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。それゆえ、報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、すべての報道関係者が真実と公正を貫くよう要望します。

二〇〇六年二月一一日

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもの人権を守る宮城県連絡会
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
パーフェクト・リバティ(PL教団)仙台教会
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合 
宮城・革新統一をすすめる懇談会 
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会