第43回(2017年)の集会




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宣言文
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 2017年2月11日、フォレスト仙台に約500人が集まりました。
 開会後、状況報告に続いて、石川健治さん(東京大学教授・憲法)が講演しました(演題:憲法ってなに? 変えたらどうなる?)。石川さんは、彼自身の師匠である樋口陽一先生(仙台出身)と、そのまた師匠である清宮四郎先生などの憲法学説を参考にしながら、「現在の憲法が戦前の憲法のほぼ“裏返し”になるように作られている」ことを、個々の条文を比較しながら説明しました。そして、「日本国憲法は、国家によって国民一人ひとりの生活が犠牲にされないように考えて作られており、その要となるのが政教分離と個人の尊重である」こと、「憲法の中身には「改正」の手続きによっても変えてはならない核心部分(憲法の憲法)があるが、現在の改憲論はその核心部分を変えようとしている」こと、「戦後70年が経過して現在の憲法が制定されたときの理念が風化しつつある中で、変えてはならない“土俵”と、その上で議論の余地があることを仕分けしていくことが必要だ」と強調されました。
 最後に「宣言」を採択し、会場から仙台駅前までデモ行進を行いました。

 



<宣言>

  私たちは今日ここフォレスト仙台において、第四三回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 昨年七月の参議院議員選挙は与党の勝利に終わり、戦後初めてついに改憲勢力が衆・参の両院で三分の二を確保しました。これは重大な事態です。選挙前から政府に批判的な専門家が攻撃されました。高等学校における教育実践に対して教育行政当局の「政治的中立性」を大義名分にした過剰な介入が見られました。そして選挙後の安倍政権は、圧倒的な数の力を背景に質疑や討論で話をはぐらかし強行採決を繰り返しています。沖縄県知事を先頭に多くの人々が反対する辺野古や高江の米軍新基地建設、オスプレイの運用拡大をさらに強力に推進しています。安保関連法に基づいて、南スーダンPKOへの派遣部隊に「駆け付け警護」の任務を付与し、国際社会における武力行使に道を開きました。また「東京五輪でのテロ防止」というもっともらしい理由で、人々の思想・表現の自由を奪いかねない「共謀罪」の新設を企図しています。安倍政権の政治は、少数意見を無視・抑圧しながら日本を軍事大国に変えるものです。戦争放棄や国民主権を宣言した日本国憲法に対する明らかな挑戦です。独裁政治です。
 アメリカ第一主義を唱えるトランプ氏が新しい大統領に就任したことで、欧米諸国が急速に右傾化する危険が高まっています。南シナ海や尖閣諸島周辺における中国の行動あるいはミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の行動に対して自衛隊による軍事行動の危険も高まっています。こうした情勢を背景に、国会では憲法審査会が再開しました。憲法九条を「改正」して平和主義の放棄に突き進む自民党の動きが目立っています。「慰安婦」や南京大虐殺など過去の戦争加害に関する歴史認識が妨げられる場面も増えています。宮城県では昨春から二つの県立中学校で復古的・国家主義的な歴史教科書が使用されています。
 私たちはこのような政治を絶対に許してはなりません。政府に対する国民の批判を許さない風潮を阻止しなければなりません。報道機関は自主規制することなく、人々の先頭に立って政府に対する批判的言論を展開する必要があります。
 今こそ私たち一人ひとりが、そして報道機関が、信教・思想・報道の自由の大切さを理解することが必要です。その権利を行使して批判的意見を発信し続け、戦争に反対する姿勢をはっきり示し、政府の言いなりにならない姿勢を貫くことが必要です。
 私たちは、安倍政権の暴走を阻止します。人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を守ります。恐れることなく言論と非暴力不服従の行動で闘いぬくことを、改めて誓います。そして決意を新たに、次の通り宣言します。

一 私たちは、今日の「建国記念の日」と憲法の改悪に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。これは帝国憲法下における天皇神話に基づく「紀元節」を復活させたものです。民主主義に反する祝日です。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」こそふさわしいと私たちは確信します。

一 私たちは、国民の「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争のできる国家の形成につながる武器輸出解禁、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、沖縄米軍の新基地建設、原発の再稼働、そして共謀罪の法制化など、これらすべてに反対します。

一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持、生前退位や皇位継承に乗じた天皇礼賛など、政教分離原則に反する動きや、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。

一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、道徳教育の教科化、教育に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また二つの県立中学校において今年度から復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を始めた宮城県教育委員会に対して、厳しく抗議します。

一 私たちは、これらの諸問題で報道機関が権力批判の役割をしっかり果たすよう求めます。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、クリーンエネルギー普及に関する報道の促進、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。

二〇一七年二月一一日
 
二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟五〇団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
全金本山労働組合
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会