第37回(2011年)の集会




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宣言文
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 2011年2月11日、仙台市民会館展示室に約300人の市民が集まりました。
 開会に先立ち、苫米地サトロさんとみやぎ紫金草合唱団の歌がありました。
 開会後、状況報告に続いて、島本慈子さん(フリージャーナリスト)の講演がありました(演題:日米同盟・九条改憲と私たちの暮らし)。島本さんは、「日本は他国に比べて殺人の少ない国だ。その背景には憲法9条がある。しかし新自由主義に基づいて小泉内閣が推進した構造改革は、人を人として扱うという精神を押しつぶし、非正規労働者という使い捨て可能な人間を生み出した。企業の本音は、正社員の首切りをもっと容易にすることであり、さらに利潤を追求する企業は戦争に活路を見出そうとする。こうして戦争(日米同盟)と労働(雇用切捨)は密接につながる。日本は、戦前は原子爆弾の威力に期待していた面もあるが、広島の惨劇を体験したことによって、戦後は非核平和のミッション(使命)を担うことになった」 (要旨)と語りました。
 最後に「宣言」を採択し、会場から仙台駅前までデモ行進を行いました。

 



<宣言>

 私たちは今日、ここ仙台市民会館において、第三七回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 今日二月一一日は、かつて「紀元節」と呼ばれていた日です。天皇を中心とした国家支配の正当性を内外に誇示するために、明治政府によって一八七三年から祝日とされたのです。およそ二六〇〇年前の今日神武天皇が最初に天皇に即位したと言われていますが、神武天皇は歴史上実在せず、それゆえ「紀元」の客観的根拠はありません。一九四八年には、民主国家として生まれ変わった戦後の日本にはふさわしくないものとして、いったん廃止されました。しかし佐藤栄作内閣がこの日を「建国記念の日」として復活させ、一九六七年から再び「祝日」となってきました。そしてそれと共に、自民党政権の下で靖国神社の国家護持を実現しようとする動きが強まり、一九六九年以後、数年間にわたり「靖国神社法案」が国会に上程されるようになりました。以来およそ四〇年の歳月が経過しましたが、靖国神社を特別な存在にして政治や教育に利用しようとする人々の動きは、現在でも続いています。
 私たちは、かつて国民を戦争に駆り立て、天皇のための死を賞賛する原動力の一つとなっていた靖国神社が再び力をもつことに反対する立場で、一九七五年から「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開いてきました。日本国憲法によって保障された信教・思想・報道の自由は、一人ひとりの人間のためにあるもので、国家のためのものではありません。天皇と国家のために個人が犠牲となった時代を再び繰り返さないよう、侵すことのできない基本的人権の一つとして保障されたのです。そして政府は、国民の基本的人権を守る責務を負っているのです。
 しかしどうでしょうか。一昨年八月に実施された衆議院議員総選挙の結果、政権は自民党から民主党に交代しましたが、信教・思想・報道の自由はまだ踏みにじられています。そして、沖縄の米軍基地はまったく整理縮小されることなく、それどころか尖閣諸島沖の漁船衝突事件や北朝鮮による砲撃事件を理由に、米軍基地の「抑止力」と自衛隊の「動的防衛力」が強調され、これまで自民党政権の下でさえ難しかった戦争準備が着々と進められています。北朝鮮に対する過剰な反応を背景に、朝鮮高校が高等学校授業料無償化の対象から排除されています。また自民党時代の誤った経済政策と、それを放置する民主党政権の下で、今も多数の非正規労働者と就職難の学生が街にあふれ、貧富の差は拡大したままです。
 私たちは、このような現状を決して見過ごすことはできません。私たちは、人類の歴史は平和と人権が尊重される方向に向かって進んでいるということに確信をもち、山積する問題の解決のために、いま再び決意を新たにして、次の通り宣言します。

一、私たちは、きょうの「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。

一、私たちは、人権・平和・民主主義の実現をめざして進んでいる人類の歴史において、日本国憲法こそ優れた憲法であると確信します。それゆえ日本国憲法の改悪に反対し、憲法の改悪につながる「国民投票法」の廃止に向けて努力します。

一、私たちは、首相その他の公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝、政教分離原則軽視の行動など、靖国神社の国家護持や、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。

一、私たちは、改悪された教育基本法に反対します。また、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、歴史を歪曲する検定意見や歴史を歪曲した教科書の採択、教職員組合運動への攻撃など、教育に対する行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きにも反対します。

一、私たちは、日米韓の軍事同盟と有事関連法の撤廃を求め、反戦の言論弾圧に抗議し、憲法前文の精神と第九条の規定を遵守するよう訴えます。また北朝鮮や中国に対抗する米軍追随の防衛政策に反対し、すべての核兵器廃絶のために努力するよう訴えます。

一、私たちは、現在の裁判員制度において、信教・思想を理由に裁判員を辞退することが権利として保障されていないことに抗議します。基本的人権はすべての国政の上で最大限尊重されるべきと私たちは考えます。

一、私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権を尊重した報道に努めるよう要望します。

二〇一一年二月一一日

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会


靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット21
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合 
宮城・革新統一をすすめる懇談会 
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会