第44回(2018年)の集会




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宣言文
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 2018年2月11日、国際センターに約500人が集まりました。
 開会後、状況報告に続いて、青井未帆さん(学習院大学教授・憲法)が講演しました(演題:憲法軽視の危機―私たちに何ができるか=下に講演要旨)。
 最後に「宣言」を採択し、会場から仙台市役所前までデモ行進を行いました。

 



<講演要旨>

 2014年7月の閣議決定(集団的自衛権行使容認)以来、政権内部に「憲法軽視」の風潮が広がっている。臨時国会を召集しないことや、「チャンスを逃さず何がなんでも憲法改正を成し遂げよう」という浅薄な議論がそれを象徴している。
 法の世界はピラミッド構造であり、憲法は政府の権力を制限し国民の権利を守るために存在する最高法規である。憲法は社会の根本の価値観を支えており、安定した国家を作っている。それゆえ安易に憲法9条を変えれば、平和を重視する価値観は揺らぎ国家の安定性も損なわれる。日本の法制度は現実には内閣法制局が支えてきた。しかし2014年以降の内閣法制局は特定秘密保護法も安保法制も信じられないほどおざなりな審査しかやっていない。
 政治学の面から見れば国家を支えているのは「実力」である。しかし近代日本はずっと実力の統制に失敗してきた。「統帥権の独立」は政治が軍を統制できない体制を作り、「軍部大臣現役武官制」は軍が政治を動かすことを許した。また国防のために多数の国民を動員し黙らせ協力させた。戦後の日本はその失敗から出発した。それゆえ戦後日本の「平和主義」は「実力をいかに統制するか」という問題である。
 自衛隊の合憲化は難しい問題。憲法9条は、「武力行使の違法化」という国際法の大きな流れを国内法化したもので、9条があったからこそ辛うじて実力統制は保たれていた。9条に自衛隊を書き込んだ場合、自衛隊は憲法上の存在として他の省庁より格上になる。それで実力統制ができるのか。日本を今後どういう国家にしたいのか、それを主権者たる国民が主体的に望んでいるのか、まったく議論がなされていない。「危機」に踊らされてはならない。


<宣言>

 私たちは今日ここ仙台国際センターにおいて、第四四回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 安倍政権は昨年六月、組織犯罪処罰法に「共謀罪(テロ等準備罪)」を新設しました。二人以上が犯罪を計画し準備行為をした段階で、計画に加わった全員を処罰できる法律です。これにより、例えば「米軍基地反対」の座り込み行動さえ弾圧されかねない状態になりました。政府は「東京五輪でのテロ防止」や「組織犯罪防止条約への加盟」というもっともらしい理由を挙げました。安倍首相は国会で「国民の思想や内心まで取り締まる懸念はまったく根拠がない」、「準備行為があって初めて処罰の対象」などと答弁しました。しかし何が準備行為となるのか、準備行為を警察がどう察知するのかなど重要な疑問に対して説明はありませんでした。そして安倍首相は、国内外の専門家や市民たちの「思想・表現の自由を奪う悪法だ。治安維持法と同じだ」との声を無視して、法案を強行採決し国会を閉じてしまいました。
 昨年十月の衆議院議員総選挙が与党の勝利に終わり、改憲勢力が衆・参の両院で三分の二を維持したことで、憲法九条の改悪がいよいよ現実味を帯びてきました。安倍政権は、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対してトランプ大統領と共に「最大限の圧力」をかけ続けており、自衛隊による軍事行動の危険がますます高まっています。沖縄県知事を先頭に多くの人々が反対する辺野古や高江の米軍新基地建設、オスプレイの運用拡大をさらに強力に推進しています。春から教科としての「道徳」教育が始まり愛国心が強調される危険も高まっています。このような安倍政権の政治は、少数意見を無視・抑圧しながら日本を戦前同様の軍事国家に変えるものです。戦争放棄や国民主権を宣言した日本国憲法に対する明らかな挑戦です。絶対に許してはなりません。
 「軍事力に頼らなければ平和を保てない」という危険な考え方を克服しなければなりません。軍隊や兵器の保有がかえって戦争を誘発するのです。それが歴史の教訓です。私たちは今こそ日本国憲法の理念、信教・思想・報道の自由の大切さを理解することが必要です。その権利を行使して、戦争に反対する姿勢をはっきり示し、政府の言いなりにならない姿勢を貫くことが必要です。NHKを含めて各報道機関は自主規制することなく、政府に対して批判的言論を展開することが必要です。
 私たちは安倍政権の暴走を阻止します。人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を護ります。恐れることなく言論と非暴力不服従の行動で闘いぬくことを、改めて誓います。そして決意を新たに、次の通り宣言します。

一 私たちは、今日の「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。これは帝国憲法下における天皇神話に基づく「紀元節」を復活させたものです。民主主義に反する祝日です。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」こそふさわしいと私たちは確信します。

一 私たちは、国民の「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争のできる国家の形成につながる武器輸出解禁、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、沖縄米軍の新基地建設、原発の再稼働、共謀罪に反対します。そして緊急事態条項の新設や自衛隊の国軍化など憲法改悪のすべてに反対します。

一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持、代替わりに乗じた天皇制の賛美と強化、政教分離原則に反する動きや、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。

一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、道徳教育の教科化、教育に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また二つの県立中学校において昨年度から復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を始めた宮城県教育委員会に対して、厳しく抗議します。

一 私たちは、これらの諸問題で報道機関が権力批判の役割をしっかり果たすよう求めます。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、クリーンエネルギー普及に関する報道の促進、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。

二〇一八年二月一一日

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟五〇団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
全金本山労働組合
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会