2012年2月11日、 フォレストホールに約300人の市民が集まりました。開会に先立ち、宮城のうたごえの皆さんの合唱と、苫米地サトロさんの歌が披露されました。
開会後、状況報告に続いて、水島朝穂さん(早稲田大学法学学術院教授)の講演がありました(演題:東日本大震災と憲法について考える ~「3・11」と「2・11」~)。 水島さんは、「
憲法は“みんなで守る決まり”ではない。権力者の行動を束縛し国民の自由が侵害されないようにするため、権力者が守るべきルールとして、国民が制定したものだ。それゆえ、君が代訴訟の最高裁判決では、“意に反する行為を一律に強制することが問題だ”と述べた藤田宙靖裁判官の少数意見こそ重要だ。最近の最高裁は、権力者の行動に批判的な判決をする方向に変化している。大阪の橋下氏の言動などに対する危機感の表れだ。今回の東日本大震災の救助・救援・復旧・復興という問題を考える場合でも、憲法に基づいて考える姿勢が大切。自衛隊が災害救助に従事できたのは、“自衛隊は軍隊ではない”を建前とせざるを得ない憲法9条のおかげでもあった。しかし被災地では、現金支給を認めない法律のために、営業しているファミリーレストランの隣の避難所で被災者は冷たい弁当を食べていた。昨日やっと復興庁が発足したが(遅い)、宮城や福島でなく東京に置いた(遠い)、大した権限のない組織だ(小さい)。混乱に便乗して利益を得ようとする企業が優遇される復旧・復興であってはならない。被災者の生存権や“故郷を求める権利”を尊重する政策こそ必要だ。」
(要旨)と語りました。
最後に「宣言」を採択し、会場から仙台駅前までデモ行進を行いました。
<宣言>
私たちは今日、ここフォレスト仙台において、第三八回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
二月一一日は、かつて「紀元節」と呼ばれていました。これは、一八七三年に明治政府が新しく制定した祝日です。天皇中心の国家をつくるために、神武天皇即位神話に依拠してこの日を「紀元節」としました。敗戦後、政府は、新国家建設をめざす日本にはふさわしくない、という理由でいったん廃止しましたが、自民党政権時代の一九六七年、反対意見を制して「建国記念の日」として復活させたのです。
さらに、一九六九年以後、毎年、靖国神社の国家管理をめざす「靖国神社法案」が国会に上程され続けました。この法案は、一九七四年の廃案後、A級戦犯合祀問題で昭和天皇が靖国神社参拝をやめたことと相まって上程されなくなりました。しかし、その後も同様の政治運動が続けられ、「国歌・国旗法」の制定、教育基本法改悪等が強行され、現在にいたっています。
私たちは、一九七五年、靖国神社国家管理に反対する第一回目の宮城県民集会を開催し、多くの県民の方々の賛同を得ました。それ以来、毎年集会を開催し、信教・思想・報道の自由を脅かすような国家や政治の動きに反対してきました。日本の国家は、日本国憲法が基本的人権として保障する信教・思想・報道の自由を、国民の一人一人に対して誠実に守る責務を負っています。中央・地方の別を問わず、国会(議会)、政府、裁判所の三権は、この憲法の保障する権利を最大限尊重しなければなりません。
しかしどうでしょうか。昨年三月に起きた東日本大震災で、政府と東京電力は福島第一原子力発電所の事故の実態と国民への影響について正確な情報を隠し、人々を危険にさらしました。国策として原発を推進し反原発の研究者と市民運動を抑圧してきた政府の責任は重大です。そして五月には最高裁判所が「日の丸・君が代」強制を合憲とする判決を出し、六月には大阪府議会が公立学校の教職員に「君が代」の起立斉唱を義務付ける条例を制定したのです。「日の丸・君が代」強制を合憲とはしながらも、かろうじて「停職や減給の処分は慎重な考慮が必要」とした今年一月の最高裁判決が私たちにとって希望とさえ感じられるほど、信教・思想・報道の自由はまだ踏みにじられています。
私たちは、このような現状を決して見過ごすことはできません。私たちは、人類の歴史は平和と人権が尊重される方向に向かって進んでいるということに確信をもち、山積する問題の解決のために、いま再び決意を新たにして、次の通り宣言します。
一 私たちは、きょうの「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。それゆえ私たちは憲法の改悪にも反対します。
一 私たちは、首相その他の公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝、政教分離原則軽視の行動など、靖国神社の国家護持や、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。
一 私たちは、大阪の教育基本条例に反対します。また、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、教育に対する行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きにも反対します。
一 私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、原発の問題点やクリーンエネルギーの普及に関する積極的な報道と、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権を尊重に努めるよう要望します。
二〇一二年二月一一日
二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット21
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城・革新統一をすすめる懇談会
宮城教育大学教職員組合
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会
2・11 信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
主催
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議