第35回(2009年)の集会




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宣言文
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 2009年2月11日(日)、仙台市民会館展示室に約400人の市民が集まりました。
 開会に先立ち、苫米地サトロさんとみやぎ紫金草合唱団の歌がありました。
 開会後、状況報告に続いて、中原道子さん(VAWW-NETジャパン共同代表、「女性・戦争・人権」学会代表、早稲田大学名誉教授)の講演がありました(演題:女にとっての天皇制)。中原さんは、「皇室典範で天皇は男系の男子が継承すると規定されているように、天皇制は本質的に女性差別の上に成り立っている。慰安婦をはじめ、国内のさまざまの差別の根源にも天皇制がある。かつて天皇は戦争の最高指導者だったが、戦後日本人は天皇を裁けなかった。慰安婦問題でさえ、初期の国際法学者たちには、慰安婦にされることが一人の女性としてどれほど辛いことかを考える視点に欠けていた。2000年の女性国際戦犯法廷は、ごく普通の主婦たちが中心となって開き、その中で天皇をも裁いた。この法廷は諸外国では高く評価されたが、日本ではほとんど無視された。昨年最高裁は、この法廷を歪曲して報道したNHKを勝たせたが、私たちはその判決文を今後全世界にばら撒いていく 。」と語りました。
 最後に「宣言」を採択し、会場から仙台駅前までデモ行進を行いました。

 



<宣言>

 私たちは今日ここに、第三五回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 私たちが守ろうとしている信教・思想・報道の自由は、一人ひとりの人間のためにあるもので、国家のためのものではありません。国家のために個人が犠牲となった時代を再び繰り返さないよう、侵すことのできない基本的人権の一つとして日本国憲法が保障したものです。しかしどうでしょうか。昨年も信教・思想・報道の自由はあちこちで踏みにじられました。私たちはこのような動きを決して許すことはできません。
 二〇〇〇年に市民グループの主催による「女性国際戦犯法廷」を取材したNHKが放送直前に安倍晋三議員ら政治家の圧力に屈して番組内容を改編した事件で、昨年六月に最高裁判所は、NHKの取材を受けたVAWW-NETジャパンなどが番組内容に関して有する期待権を否認する不当判決を出しました。「憲法の番人」として独立した存在であるはずの最高裁判所が、報道の自由を侵した権力者の行動を追認したことに、私たちは強く抗議します。
 教育の現場でも動きがありました。昨年三月に文部科学省は、小中学校の新しい学習指導要領の告示に際して、告示の直前までなかった「我が国と郷土を愛し」の文言を初めて総則に明記し、小学校音楽では「君が代」を「歌えるように指導する」と一歩踏み込んだ表現に変えました。そして告示の直後には東京都教育委員会が「君が代」斉唱時に起立しなかった教員二〇名を処分しました。七月には文科省が道徳教育の推進を明記した「教育振興基本計画」を作成し、初めて閣議決定されました。来年度から、原則として全ての教員免許に一〇年の有効期限が設けられ、教員として在職するためには文科省の指定する講習を受けて試験に合格しなければなりません。その予備的な講習が今年度から始まりました。「教員の資質向上のため」とされていますが、小泉内閣の時代に提案され安倍内閣の時代に法制化されたもので、教員の選別につながる危険性をはらんでいます。教育基本法が改悪されたときに懸念された民主教育に対する攻撃、児童生徒や教員の思想・信条に対する管理強化が、いま急速に現実化しているのです。
 このような動きは、新しい歴史教科書をつくる会等が誤った歴史認識を流布していることに直結しています。昨年、自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄氏は、村山内閣時代の政府見解を踏み越え、公務員が負うべき憲法尊重擁護の義務に背いて、「日本が侵略国家というのは濡れ衣だ」などと歴史を歪曲する「論文」を発表しました。彼は統合幕僚学校長時代に歴史認識に関する講座を新設して、新しい歴史教科書をつくる会の幹部を講師に招きました。同会の元副会長で埼玉県教育委員長代行をつとめ女性を差別する発言でも物議をかもしている高橋史朗氏は、一昨年仙台市の男女共同参画推進審議会委員となり現在も活動を続けています。私たちは誤った歴史認識によって教育が歪められることを絶対に許すわけにはいきません。教育は一人ひとりの可能性を伸ばし主権者にふさわしい人格の完成をめざすものであり、国家や政府のために戦争ができる国民を育てることではないのです。
 昨年八月に小泉・安倍両元首相が靖国神社を参拝しました。また政府を批判するビラを住宅の郵便受けに投函しただけで逮捕・有罪とされるなどの言論・表現活動の弾圧も起きています。政府は、先の戦争を反省し指導者・加害者の責任を問い被害者・犠牲者に謝罪し償うという課題から逃げまわり、平和と人権の確保を求める私たちを圧迫し続けています。このような政府は、日本国憲法の下にある政府として絶対にふさわしくありません。
 このような状況にあって、私たち主権者も行動します。信教・思想・報道の自由が真の意味で保障され生かされる時代は、やはり私たち自身が不断の努力によって築かなければならないからです。一一月には神奈川県で「君が代」斉唱時に起立しなかった教員が個人情報保護条例違反による慰謝料を求めて提訴しました。国外に目を向ければ、国連の規約人権委員会が表現活動を不当に弾圧している日本政府を批判する内容の勧告を発表したことや、また台湾の立法院(国会)が慰安婦問題で日本政府に賠償と謝罪を求める決議を採択したことなど、私たちを勇気づけてくれる報道もあります。人類の歴史は平和と人権が尊重される方向に向かって進んでいるのです。私たちはこのことに確信をもち、いま再び決意を新たにして次の通り宣言します。

一、きょうの「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、明治の帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。

一、私たちは、憲法の改悪と、首相その他の特別国家公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝、仙台市 をはじめとする地方公共団体の政教分離原則軽視、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、そして歴史を歪曲する検定意見・歴史を歪曲した教科書の採択など、教育への行政の不当な介入に反対します。

一、私たちは、有事関連法の撤回を求め、反戦の言論弾圧に抗議し、憲法前文の精神と第九条の規定を遵守するよう訴えます。またインド洋の自衛隊による給油活動に反対し、すべての核兵器廃絶のために努力するよう訴えます。

一、私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、すべての報道関係者が真実と公正を貫くよう要望します。

二〇〇九年二月一一日

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会


靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット21
子どもの人権を守る宮城県連絡会
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合 
宮城・革新統一をすすめる懇談会 
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会