第48回(2022年)の集会




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集会宣言
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 2022年2月11日の集会は、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況のため、2021年の集会と同様に、オンライン(YouTube)での動画配信と、県内数ヶ所の小会場における配信動画上映の二本立てという変則的な形での開催となりました(「状況報告」は省略、デモ行進も行いませんでした)。
 開会後、佐久間敬子さん(弁護士)が「わたしたちの平和:水道民営化問題から見えてくるもの」と題して講演しました(下に講演要旨)。
 最後に「宣言」を採択して、私たちの思いをアピールしました。


<講演要旨>

 昨年6月の宮城県議会で、県の上・工・下水道9事業の運営権を4月から20年間売却する議案が可決した。約2万筆の反対署名が寄せられ、建設企業委員会は賛否同数で県政史上初の委員長採決となり、本会議では数名の与党議員の棄権という波乱の末だった。3事業一体での民営化は全国初。維持管理会社の株式の過半数はヴェオリア社がもつ。
 1980年代から世界的に拡大した水道事業民営化の背景には、水さえ商品化する新自由主義がある。日本でも1999年PFI法の制定以来、多様な公営事業・公共施設運営へ民間参入が拡大し、2018年の法改正で水も対象になった。その背後には、受注予定のヴェオリア社社員がPFI 推進本部に出向する利益相反行為もあった。「日本の良質の水が外資の手に渡る危険」と批判が高まったが、宮城県知事は国会で賛成意見を述べて推進した。
 公営水道の民営化は2000年代から多数の国で失敗や混乱を生み、2010年に国連総会は「安全な水へのアクセスは人権」と決議した。2020年までの再民営化は37ヶ国・311件にのぼる。しかし日本では2011年東日本大震災と2013年麻生副総理の「すべて民営化」発言を契機に「周回遅れ」で始まった。宮城県では民営化が復興財源の条件にされ、2016年ごろから非公開で準備が進められたが、議会・県民への十分な情報開示はなかった。民営化した場合、コスト削減で料金値上げ・水質悪化・災害時対応不安・専門職員不在と技術力低下など県民負担が増す危険がある一方、運営会社には莫大な利益が見込まれる。
 水道民営化は憲法25条や水道法に違反するのに、実施契約書には住民運動を敵視する条項まである。日本人は消費者として水問題の重要性に気づき、再公営化をめざして世界と連帯すべきだ。


<宣言>

 

 私たちは今日、第四八回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 健全な民主主義社会は、私たち一人ひとりの自由な信仰・思索と批判的な言論・報道があってこそ実現します。しかし菅政権と岸田政権は、私たちの声や報道の批判に耳を傾けないまま、独りよがりの政治を続けています。
 一昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大の中で、菅前首相は国民世論を無視してオリンピック開催を強行し、関係者の安易な入国や移動を黙認しました。ワクチン確保が不十分なまま自治体に接種を急がせる一方で、防衛省による大規模接種を容認するなど、地方自治を否定し混乱させる場当たり的な対応を繰り返しました。岸田政権は、「桜を見る会」に絡む政治資金の不正疑惑、森友学園に絡む公文書偽造、スリランカ出身女性が入管施設で死亡した事件など、政権に都合の悪い事実の真相究明に背を向け、日本学術会議の新会員として推薦された六名の任命拒否も撤回しません。沖縄の米軍新基地建設工事を依然として推進し、韓国の「元徴用工」や「慰安婦」の問題でも、植民地支配の歴史を顧みない対応ばかりです。領土問題・台湾有事・ミサイル発射を口実に危機感をあおり、中国・北朝鮮への先制攻撃を可能にする軍備増強を着々と進めています。そして昨秋の衆議院議員総選挙以後「憲法改正」をめざす動きを一段と強めています。県内でも、村井知事が県の水道事業の民営化、女川原発の再稼働、4病院の統合移転や県立高校の統廃合を強引に推し進めています。
 このように、批判的世論と地方自治を無視する政治、他国を敵視し軍事力を優先する政治は、大局的には日本を戦前同様の独裁国家に変えるものです。日本国憲法に対する挑戦であり、絶対に許してはなりません。主権者国民に対する不誠実と中央集権、隣国との信頼関係の否定、軍隊の増強や兵器の開発・保有。これらが戦争を誘発することを歴史は教えています。私たちは、核兵器禁止条約が発効した今こそ、日本国憲法の理念と信教・思想・報道の自由の大切さを再確認しなければなりません。そして常日頃から戦争に反対する姿勢をはっきり示し、政府の言いなりにならない姿勢を貫くことが必要です。各報道機関は自主規制することなく批判的言論を展開すべきです。
 私たちは人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を護り、岸田政権の暴走を阻止します。恐れることなく言論と非暴力不服従の行動で闘いぬくことを、改めて誓います。そして決意を新たに、次の通り宣言します。

一 私たちは、今日の「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。これは帝国憲法下における天皇神話に基づく「紀元節」を復活させたものです。民主主義に反する祝日です。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」こそふさわしいと私たちは確信します。

一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持、代替わりに乗じた天皇制の賛美と強化、政教分離原則に反する動きや、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。

一 私たちは、国民の「表現の自由」や「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争のできる国家の形成につながる武器輸出解禁、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、沖縄の米軍新基地建設、原発の再稼働、「共謀罪」、そして緊急事態条項の新設や自衛隊の国軍化などの憲法改悪に反対します。また核兵器禁止条約の署名と批准を求めます。

一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、「特別の教科 道徳」、教育と学問研究に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また二つの県立中学校において復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を続けている宮城県教育委員会に対して、厳しく抗議します。

一 私たちは、これらの諸問題で報道機関が権力批判の役割をしっかり果たすよう求めます。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、再生可能エネルギー普及に関する報道の促進、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。

二〇二二年二月一一日

 

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟五〇団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
全金本山労働組合
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会