第46回(2020年)の集会




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集会宣言
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 2020年2月11日、仙台国際センターに約550人が集まりました。
 開会後、状況報告に続いて、白井聡さん(京都精華大学教員・政治学者)が「戦後をふり返って、今と向き合う」と題して講演しました。(下に講演要旨)。
 最後に「宣言」を採択し、会場から仙台市役所前までデモ行進を行って、私たちの思いをアピールしました。

 



<講演要旨>

 東日本大震災の原発事故は、戦後の平和・繁栄・民主主義の崩壊を強く印象づける出来事だった。原子力発電は、いったん国策と決まったら合理的批判には耳を貸さず強権を使って排除しあるいは巨大な利権構造に取り込んで黙らせながら、推進されてきた。事故が起きても推進者たちは適切な対処をしなかった。これは丸山眞男が言った戦前の「無責任の体系」と同じ。責任をもって決断する者がいないままの暴走だった。
 戦後日本は、戦争への後悔と反省に立って再出発したはずだが、本当は「負けた」とは思っていない。知識はあっても都合の悪いことは見たくない心理が働いている。在日コリアンに対するヘイトスピーチは「敗戦の否認」つまり「大日本帝国の再現」という点で、善良な日本人の歴史意識と根は同じ。
 このような戦後日本は、東西冷戦の中でアメリカから同盟国として優遇され、敗戦を否認できるほど恵まれたことの結果だ。しかし日本の対米従属関係は、他の同盟国のように戦略的打算的ではなく、「トモダチ」や「思いやり」など情緒的である。これは戦前の「国民は天皇陛下の赤子」という温情主義的従属と同じ。近代社会に住みながら権利を主張せず上に従順な日本人の姿勢にも天皇制がある。つまり日本は、敗戦によって万世一系の天皇を頂点とする国体は壊れたが、戦後アメリカを頂点とする国体を再建したのだ。
 たとえ安倍政権が退陣しても、この「国体」は日本人の中に残っている。「国体」がもたらす奴隷状態に満足している人間は知性に目覚めず、自由人を憎み攻撃する。だが戦前と戦後を比べれば、日本はいま2度目の「国体の崩壊」に近づいている。私たちはそれを悲劇ではなく喜劇として達成しよう。

 


<宣言>

 私たちは今日ここ仙台国際センターにおいて、第四六回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
 健全な民主主義社会は、私たち一人ひとりの自由な信仰・思索と批判的な言論・報道があってこそ実現します。しかし安倍政権は、私たちの声や報道の批判に耳を傾けないまま、独りよがりの政治を続けています。
 昨年の天皇の代替わりに伴って巨費を投じて盛大に行われた諸行事は、一貫して皇室賛美に終始したのみならず、大嘗祭に対して公費が支出されたことからも明らかなように、憲法が定める「国民主権」と「政教分離」の原則に反するものでした。また夏に愛知県で開催された「表現の不自由展」をめぐる動きは、私たちの「表現の自由」を保障すべき政府が、その責任に背いて私たちの表現活動に制限を加えるものでした。安倍首相が真相を隠蔽し政治を私物化していることは、「桜を見る会」をめぐる一連の対応から明らかです。県内では県民投票の実現を求める十一万筆を超える署名を無視して、村井知事は女川原発を再稼働させようとし、沖縄では、県民投票の結果を無視して、政府は米軍新基地建設をさらに推進しています。韓国の「元徴用工」問題では、歴史の真実を踏まえた良識ある対応ではなく、逆に日韓関係を損なう反応ばかりです。高価な戦闘機の購入・「空母」の導入・ミサイル防衛システムの構築といった軍備増強や、ペルシャ湾への自衛隊派遣も着々と進められています。
 このような安倍政権の政治は、日米両国の軍事的一体化そのものであり、日本国憲法「改正」への布石です。私たちの意見を無視・抑圧しながら日本を戦前同様の独裁国家に変えるものです。戦争放棄や国民主権を宣言した日本国憲法に対する明らかな挑戦であり、絶対に許してはなりません。主権者・国民に対する不誠実、隣国との信頼関係の否定、軍隊や兵器の保有が戦争を誘発する。それが歴史の教訓です。私たちは今こそ日本国憲法の理念、信教・思想・報道の自由の大切さを想起しなければなりません。そして選挙の時だけでなく常日頃から戦争に反対する姿勢をはっきり示し、政府の言いなりにならない姿勢を貫くことが必要です。各報道機関は自主規制することなく批判的言論を展開すべきです。かんぽ生命の不正販売をめぐる報道で日本郵政からの抗議に屈し「公共放送」としての在り方に疑念を生じさせたNHKには猛反省を求めます。
 私たちは安倍政権の暴走を阻止します。人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を護ります。恐れることなく言論と非暴力不服従の行動で闘いぬくことを、改めて誓います。そして決意を新たに、次の通り宣言します。


一 私たちは、今日の「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。これは帝国憲法下における天皇神話に基づく「紀元節」を復活させたものです。民主主義に反する祝日です。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」こそふさわしいと私たちは確信します。

一 私たちは、国民の「表現の自由」や「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争のできる国家の形成につながる武器輸出解禁、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、沖縄の米軍新基地建設、原発の再稼働、「共謀罪」に反対します。そして緊急事態条項の新設や自衛隊の国軍化など憲法改悪のすべてに反対します。

一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持、代替わりに乗じた天皇制の賛美と強化、政教分離原則に反する動きや、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。

一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、「特別の教科 道徳」、教育に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また二つの県立中学校において復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を続けている宮城県教育委員会に対して、厳しく抗議します。

一 私たちは、これらの諸問題で報道機関が権力批判の役割をしっかり果たすよう求めます。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、再生可能エネルギー普及に関する報道の促進、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。

二〇二〇年二月一一日

二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会

靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟五〇団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
全金本山労働組合
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合 
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会