2019年2月11日、国際センターに約630人が集まりました。
開会後、状況報告に続いて、中野晃一さん(上智大学教授・政治学)が講演しました(演題:こんな国で生きていくの?=下に講演要旨)。
最後に「宣言」を採択し、会場から仙台市役所前までデモ行進を行いました。
<講演要旨>
年配の人間はしばしば若い人たちの政治的無関心を嘆くが、若者の多くは安倍政権しか知らないのだから彼らに罪はない。しかし関心の高い若者たちには、幼い頃から周囲の大人たちの熱心な姿を見ていたという共通点がある。押しつけず、種をまくことが必要。
昨日の自民党大会で安倍首相は「自衛隊の新規隊員募集に都道府県の6割以上が協力を拒否している、だから改憲しなければならない」とウソをついた。その本音は国家総動員体制の復活。自衛隊を憲法に明記すれば、国防を根拠に国の財政さえ動かすようになるだろう。
バブル崩壊・冷戦終結ごろまでの自民党は穏健保守だった。指導者は今より聡明で、国連やアジア諸国との関係を重視していた(国際協調主義)。PKO法も国連の枠組みだからこそ可能だった。日本が「こんな国」になり始めたのは1990年代後半。55年体制が崩れ小選挙区制になった1996年ごろから政治家の世代交代が進み、復古的あるいはアメリカ追随の政治家が増えた。安倍首相もその一人で、日本会議もこのころ結成された。
2000年代の小泉政権は日米の同盟関係を緊密なものにし、また右翼政治家たちを育てる役割を果たした。そのころ辛うじてブレーキ役を果たしていた民主党の政権が失敗したことと、野党時代に右傾化を強めた安倍政権の復活で、自民党はかつてないほど右傾化し、ブレーキも無い状態になっている。市民の力で暴走を止めるしかない。
私たちは言うべきことを発信しなくてはいけない。そのさい大切なのは、論争を構えるのではなく相手の話を聞くこと、絶対的な価値を訴えることだ。相手の主張からどういう帰結があるかを想定して語ることも必要だ。
<宣言>
私たちは今日ここ仙台国際センターにおいて、第四五回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
健全な民主主義社会は、私たち一人ひとりの自由な信仰・思索と批判的な言論・報道があってこそ実現します。しかし安倍政権は、私たちの声や報道の批判に耳を傾けないまま、独りよがりの政治を続けています。安倍首相は、森友加計両学園問題の責任追及をかわして昨年九月に自民党総裁に三選されましたが、それにふさわしい政治をしているとは全く言えません。沖縄では、玉城デニー新知事が翁長前知事の遺志を継いで辺野古の埋め立て承認を撤回したにもかかわらず、安倍政権は沖縄の民意を無視して、米軍の新基地建設を推し進めています。戦前日本企業で働かされた「元徴用工」たちによる損害賠償請求を容認した韓国の大法院判決に対しては、歴史の真実を踏まえた良識ある対応ではなく、逆に日韓関係を損なう反応ばかりです。今年度から小学校で教科としての「道徳」教育が始まり愛国心が強制される危険も高まっています。五輪・万博といった巨大事業や、高価な戦闘機の購入・事実上の「空母」導入といった軍備増強に多額の国費をつぎ込み、また国会での十分な議論を経ないまま、私たちの命を支える水道事業の民営化(外国資本の導入)や外国人労働者の人権を無視した受入拡大にも道を開いています。
このような安倍政権の政治は、日米両国の軍事的一体化そのものであり、日本国憲法「改正」への布石です。私たちの意見を無視・抑圧しながら日本を戦前同様の軍事国家に変えるものです。戦争放棄や国民主権を宣言した日本国憲法に対する明らかな挑戦であり、絶対に許してはなりません。私たちは「強い態度で臨まなければ問題は解決しない」とか「自衛隊が憲法違反では可哀そう」などと感情に訴える危険な考え方を克服しなければなりません。隣国との信頼関係の否定、軍隊や兵器の保有が戦争を誘発するのです。それが歴史の教訓です。私たちは今こそ日本国憲法の理念、信教・思想・報道の自由の大切さを想起しなければなりません。この権利を行使して、戦争に反対する姿勢をはっきり示し、政府の言いなりにならない姿勢を貫くことが必要です。森友学園問題で公文書が密かに改ざんされていた事実をスクープし後に新聞協会賞を受賞した朝日新聞のように、NHKを含む各報道機関は、自主規制することなく政府に対して批判的言論を展開すべきです。
私たちは安倍政権の暴走を阻止します。人権・平和・民主主義を定めた日本国憲法を護ります。恐れることなく言論と非暴力不服従の行動で闘いぬくことを、改めて誓います。そして決意を新たに、次の通り宣言します。
一 私たちは、今日の「建国記念の日」に反対します。「建国記念の日」に歴史的根拠はありません。これは帝国憲法下における天皇神話に基づく「紀元節」を復活させたものです。民主主義に反する祝日です。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」こそふさわしいと私たちは確信します。
一 私たちは、国民の「知る権利」をはじめとする基本的人権を侵害し、国民主権の否定と戦争のできる国家の形成につながる武器輸出解禁、特定秘密保護法、安保関連法(集団的自衛権の行使)、沖縄の米軍新基地建設、原発の再稼働、「共謀罪」に反対します。そして緊急事態条項の新設や自衛隊の国軍化など憲法改悪のすべてに反対します。
一 私たちは、首相や閣僚による靖国神社や伊勢神宮への参拝、靖国神社の国家護持、代替わりに乗じた天皇制の賛美と強化、政教分離原則に反する動きや、天皇の政治的利用につながる動きに反対します。
一 私たちは、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、「特別の教科 道徳」、教育に対する政党・行政の不当な介入や、教育の民主化を妨げる動きに反対します。また二つの県立中学校において一昨年度から復古的・国家主義的な歴史教科書の使用を始めた宮城県教育委員会に対して、厳しく抗議します。
一 私たちは、これらの諸問題で報道機関が権力批判の役割をしっかり果たすよう求めます。報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、再生可能エネルギー普及に関する報道の促進、犯罪事件における実名報道や安易な犯人視報道の抑制など、すべての関係者が真実と公正を貫き人権の尊重に努めるよう要望します。
二〇一九年二月一一日
二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟五〇団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
生活協同組合あいコープみやぎ
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
全金本山労働組合
創価学会青年部宮城県憲法研究会
テロにも戦争にもNO!の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本バプテスト連盟東北地方連合
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和・民主・革新の日本をめざす宮城の会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城教育大学教職員組合
宮城県教職員組合
宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城脱原発風の会
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会
2・11 信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
主催
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議