2008年2月11日(日)、仙台市民会館小ホールに約450人の市民が集まりました。
開会に先立ち、みやぎ紫金草合唱団と苫米地サトロさんの歌がありました。
開会後、状況報告に続いて、高嶋伸欣氏(たかしま・のぶよし/琉球大学教授)の講演がありました(演題:歴史歪曲を阻む主権者ここにあり!~世代を超えて引き継ぐ日本の民主主義~)。昨年9月29日に11万人集まった沖縄県民集会が、教科書検定で沖縄戦の真実を歪曲した文科省に衝撃を与え、その記述の訂正を認めさせた成果を中心に、沖縄と全国の市民の力の高まりについて、話していただきました。
最後に「宣言」を採択し、会場から仙台駅前までデモ行進を行いました。
<宣言>
私たちは今日ここに、第三四回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
昨年は、七月に参議院議員選挙で自民党が大敗するまで、安倍内閣による数の力を頼みとした強権的な政治が展開されました。その最たるものは、五月に憲法改正の手続きを定めた法律(いわゆる国民投票法)が強行採決によって成立させられたことです。このことにより、法律が施行される三年後からは、国会がいつでも憲法改正を発議し国民投票を実施することができるようになってしまいました。私たちは、多くの国民の反対にもかかわらず、安倍内閣がこのような重要な法律を強行採決によって成立させたことに憤りを覚え、抗議します。
文科省は二〇〇八年度から使用する高校日本史教科書の検定で、沖縄戦の住民強制集団死(いわゆる集団自決)が日本軍の命令・強制・指示・誘導などによって引き起こされたとする記述を「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」として削除・修正させました。沖縄をはじめ全国各地で検定意見の撤回を求める運動が広がり教科書会社・執筆者から訂正申請が出されても、文科省は検定意見そのものは撤回せず、日本軍による「強制・強要」の表現は認めない態度に終始しました。これは「軍の強制」をはっきり記述してほしいという沖縄県民の願いや、子どもたちに歴史を正しく伝えたいという教科書執筆者の願いを踏みにじるものです。私たちは権力で真実を歪めることに抗議します。また教育基本法の改定にともない教師の思想・信条を脅かすおそれのある教育三法の改定が行われ、さらには最高裁判所が「君が代」のピアノ伴奏命令や斉唱時の起立命令などを合憲とする判断を示しましたが、これら教育の管理強化や反動化によって教育の本質を歪めることも、許すわけにはいきません。教育は、一人ひとりの可能性を伸ばし主権者にふさわしい人格の完成をめざすものであり、国家や政府のために戦争ができる国民を育てることではないのです。それゆえ「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長で女性を差別する発言でも物議をかもしている高橋史朗氏を、仙台市
が男女共同参画推進審議会委員にしたことも見過ごせません。
昨年六月には、自衛隊の内部組織である「情報保全隊」が市民の思想・信条やその表現活動を調査・監視していることが明らかになりました。文民統制の下にあるはずの自衛隊が国民を監視する行動をとっていたことは前代未聞であり、言語道断です。また政府が米軍再編法を成立させ、地元の反対運動を無視して岩国市
に空母艦載機の基地を移転しようとしていること、インド洋での給油活動再開のために衆議院で再議決をして新テロ特措法を成立させたことは、自衛隊がますますアメリカに追従しつつあることを示しています。
さらに、昨年七月の参議院議員選挙後も「みんなで参拝する会」の国会議員四六名が靖国神社に参拝したことを、私たちは忘れません。四月に最高裁判所が日中戦争で被害を受けた中国国民の救済は必要と言いながら「裁判で賠償を請求する権利は日中共同声明によって放棄された」と一方的に判断して戦後補償を求める中国人たちの訴えを退けたこと、六月に当時の久間防衛大臣が「広島長崎に原子爆弾が投下されたのは戦争を終わらせるために仕方がなかった」などと発言したことにも、私たちはあきれました。日本政府は今なお、先の戦争を反省し指導者・加害者の責任を問い被害者・犠牲者に謝罪し償うという課題から、逃げまわっているのです。平和主義を掲げる日本国憲法の下にある政府として、まったく不適格です。
このような状況にあって私たち主権者も黙ってはいられません。教科書検定意見の撤回を求める沖縄県民集会には一一万人が結集し、これを契機に全国各地の多数の地方議会が(宮城県でも気仙沼市
議会が)検定意見の撤回を求める意見書を採択しました。また「君が代」斉唱時に起立しなかった教員名の報告は個人情報保護条例に違反すると判断した神奈川県の例は、私たちを勇気づけてくれます。信教・思想・報道の自由が真の意味で保障され生かされる時代は、やはり私たち自身が不断の努力によって築かなければならないのです。私たちは、決意を新たにしつつ、次の通り宣言します。
一、きょうの「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、明治の帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう日本国憲法の施行の日である「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。
一、私たちは、憲法の改悪と、首相その他の特別国家公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝、仙台市 をはじめとする地方公共団体の政教分離原則軽視、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制、そして歴史を歪曲する検定意見・歴史を歪曲した教科書の採択など、教育への行政の不当な介入に反対します。
一、私たちは、新たな有事関連立法の撤回を求め、反戦の言論弾圧に抗議し、憲法前文の精神と第九条の規定を遵守するよう訴えます。またすべての核兵器廃絶のために努力するよう訴えます。
一、私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。それゆえNHKに対する「拉致問題放送命令」のように、報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、すべての報道関係者が真実と公正を貫くよう要望します。
二〇〇八年二月一一日
二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもと教科書みやぎネット21
子どもの人権を守る宮城県連絡会
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城・革新統一をすすめる懇談会
宮城教育大学教職員組合
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会
2・11 信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
主催
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議