<宣言>
私たちは今日ここに、第三一回「信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」を開催しました。
今年は敗戦六十年です。六十年前、東京大空襲・沖縄戦・広島長崎の原爆などの悲惨な戦争体験から、私たちは天皇と軍部の独裁を許してはならないという教訓と、戦争を放棄し人権を守り民主主義を貫くことこそが恒久平和を実現するという理念を学びました。しかし今、その教訓と理念から生まれた日本国憲法が踏みにじられ、改悪されようとしています。
たとえば自衛隊のイラク派兵と有事法制の整備は、結局さまざまな国際問題に軍事力で臨んできたアメリカに追随し加担することであり、どんな詭弁を弄しても正当化することはできません。また、自民党が「結党五十周年となる今年一一月までに新しい憲法の草案を発表する」とし、軍隊の保持を明文で規定するなどした素案を昨年秋に発表したことについても、私たちは強く抗議します。自民党が主張する「憲法改正」は、日本国憲法の精神を深めるものではなく、逆にそれを葬り去るものにほかなりません。
弾道ミサイル防衛などを盛り込んだ新しい防衛計画大綱を定め、対米武器輸出を解禁し、イラク派兵を延長するなど、軍拡路線を進める日本政府は、いま国民から批判精神を奪い、国民を国家のために行動させようと躍起になっています。反戦ビラの配布が処罰されたり、教育基本法改悪によって「伝統や愛国心」を養う教育が行われるようになれば、国民の自由な思想と言論は抑えられ、国家第一の風潮が高まり、「日の丸・君が代」の強制も今よりもっと厳しくなるでしょう。その行き着く先には、かつてと同じ国家主義の時代が待っていると考えなければなりません。中国政府の抗議や福岡地裁の違憲判決にもかかわらず「国に殉じた英霊」を祀る靖国神社への参拝をやめようとしない小泉首相の行動や、ボランティアなどの目的でイラクに入り武装勢力に拘束された日本人たちに対して「自己責任」などと発言した閣僚の態度は、いずれも国家を重んじ国民を政府に従わせようとするものです。このような政治家の言動は、現に生活している人々の生命と権利を守るために政府が存在するという日本国憲法の精神を真正面から否定するものであり、私たちは認めることはできません。
また「従軍慰安婦」をはじめ南京大虐殺・七三一部隊・強制連行・遺棄毒ガスなどによる被害や、戦争孤児と養父母の生活苦などのために、近隣アジア諸国の人々は六十年以上を経た今も涙を流し続けています。日本が加害の歴史に蓋をして責任を逃れるようなことは、絶対にあってはなりません。歴史を歪曲する教科書の採択や、自民党政治家によるNHKへの介入は言語道断です。
いま私たちの国は、六十年前に大きな犠牲を払って学んだ教訓と理念を忘れ、平和と人権を失いかけています。それを取り戻すためには、真理と正義の力が必要だと私たちは考えます。真理と正義は、人々が自由に学び考え、そしてお互いに語りあい伝えあうところでこそ培われるものです。それゆえ「信教・思想・報道の自由」を守り、権力や財力の前に弱い人々・貧しい人々の口がふさがれ真理と正義が隠されつつある現状を改めて、日本をほんとうに平和と人権の国にするために、今日わたしたちは次のとおり宣言します。
一、きょうの「建国記念の日」は、天皇神話に基づくだけで歴史的根拠はなく、明治の帝国憲法下における「紀元節」を復活させたものにすぎません。現在の「日本国」誕生の日は、人権・平和・民主主義をうたう「憲法記念日」で十分だと私たちは確信します。
一、私たちは、首相その他の特別国家公務員による靖国神社や伊勢神宮等への「公式」参拝と地方公共団体における政教分離原則の軽視、また教育基本法の改悪と、公立学校その他での「日の丸・君が代・元号」の強制や、歴史を歪曲する教科書の採択などに反対します。
一、私たちは、自衛隊のイラク派兵やそれを合法化した「イラク特措法」と新たな有事関連立法の撤回を求め、反戦の言論弾圧に抗議し、憲法前文の精神と第九条の規定を遵守するよう訴えます。これこそ、平和を希求する国際社会で日本国がとるべき唯一の貢献だと、私たちは信じます。
一、私たちは、これらの諸問題で報道の果たす役割を重視し尊重します。それゆえ、報道や取材活動への不当な規制や介入に断固反対すると同時に、すべての報道関係者が真実と公正を貫くよう要望します。
二〇〇五年二月一一日
二・一一信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議加盟四八団体 (アイウエオ順)
革新自治体をそだてる学者文化人の会
核兵器廃絶を願うキリスト者の会
カトリック正義と平和仙台協議会
河北新報労働組合
子どもの人権を守る宮城県連絡会
司法反動化反対宮城県連絡会議
自由法曹団宮城県支部
新日本婦人の会宮城県本部
青年法律家協会宮城支部
仙台キリスト教連合
仙台市職員労働組合
仙台平和を求めるキリスト者の会
仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会
創価学会青年部宮城県憲法研究会
中国人戦争被害者の要求を支える宮城の会
東北工業大学教職員組合
東北大学学生キリスト教青年会
東北大学職員組合
東北放送労働組合
東北労働弁護団
日本科学者会議宮城支部
日本キリスト改革派教会
日本キリスト教団東北教区社会委員会
日本山妙法寺
日本出版労働組合連合会仙台地域協議会
日本婦人有権者同盟仙台支部
日本放送労働組合東北支部
日本民主法律家協会東北支部
パーフェクト・リバティ(PL教団)仙台教会
婦人民主クラブ全国協議会宮城支部
婦人民主クラブ(再建)宮城県協議会
平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ
宮城学院女子大学教員組合
宮城・革新統一をすすめる懇談会
宮城教育大学教職員組合
宮城県教職員組合
宮城県高等学校教職員組合
宮城県憲法を守る会
宮城県護憲平和センター
宮城県私立学校教職員組合連合
宮城県平和委員会
宮城県平和遺族会
宮城憲法会議
宮城県歴史教育者協議会
宮城県労働組合総連合
宮城婦人問題連絡会
宮城歴史科学研究会
立正佼成会仙台教会
2・11 信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会
主催
靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議